西日本DX推進フェア in 九州2023
前から関心の高かった北九州の西日本総合展示場であったテクノフェアに行ってきました。7月5日から3日間ありましたが、6日と7日の午前だけ時間が取れました。
6日の午前中は、自治体DXのトークセッションを見ましたが、役所もDX化を進めているんだなと実感しました。その後、つなぐコミュニティーズという就労B型のブースでは、センシング技術、ロボットとAIによるごみ分別システムのデモを見させていただきました。リサイクル作業にAI技術を組み込んだもので、自動でごみを分別するようになっていて素晴らしいのですが、障がい者がすることがなくなるのではないかと疑問に思ったので、担当の宮本さんに聞いてみました。すると、AIが学習する教師情報の提供は、障がい者の方がするそうです。宮本さんによると、作業を効率化、効果的に行えるようにすることで、付加価値を与え、収益を上げることで働いている障がい者の工賃などをアップすることが目的だそうです。システム自体は、北九州市にあるITベンチャーのKIQ Robotics
という会社が担っていました。つなぐコミュニティーズは、福岡市の西区にあるのですが、今度、北九州市の黒崎に事業所をオープンするそうなので楽しみです。誰か、働いてくれる人を募集しているので紹介してくださいと頼まれました。
自分の事業も、DX化を進めていかないといけないのですが、どこから手をつけていいかわからないので、まずは会社にお願いしようかと考えています。あるブースに、株)YEデジタルKyushuというのがあったので、お話を聞いてみました。工場やオフィスの作業の効率化を図るためのシステムを画面上で見せてくれました。自分の所は、個人でやっていて、発達障がいの人の支援や施設でのコンサルテーションをしていること、利用者の行動のモニタリングや記録、その集計化を自動化できないか聞いてみました。モニタリングは、監視システムが必要なので難しいですが、タブレット入力での記録システムはできそうだとのことでした。興味があれば、連絡をくださいとのことだったので、名刺交換して連絡してみようと思います。
7日は、農業DXについてのトークセッションに参加しました。北九州の中小企業のでDX化を支援しているFAISがコーディネーター(林氏)になり、宮崎の先進的な取り組み(石原氏)と小倉南区にある事業所(中村氏)の発表でした。この宮崎の石原社長の発表は、私たちの業界にも通じるなあと感心したので詳述します。
宮崎は、イシハラフーズさんの石原社長が発表されました。(https://www.ishihara-foods.com/)石原社長は、元々はソーシャルワーカーをされていて家業を継いで社長になった異色の経歴です。石原フーズも、もとは冷凍野菜を扱っていた業者だったのが、20年前に農業に進出したそうです。自社で契約していた農家300軒を少しずつ自社の経営に取り込んでいったそうです。現在、農地面積は、273ヘクタールあるそうです。ピンとこないので、ディズニーランドとディズニーシーを合わせた面積が約100ヘクタールというので、その倍以上というのがイメージできました。社員は18人で、平均年齢は42歳だそうです。
今の日本の農業の就労人口は、136万人で20年前から1/10に減少しています。平均年齢も60代で、危機的と言えます。スマート農業を進めないと本当に危ない。
スマート農業には3つの取り組みがあります。
①自動化:ロボットトラクターなど
②情報共有の簡略化
③データ活用:ドローンやセンシング技術など
18名の従業員全員にiphooneを持たせて、畑にあるQRコードを使って作業を行います。授業員は、オフィスに行くことなく、直接、畑に出向いて作業を開始します。QRコードで読み取れば、必要な作業もわかるので、オフィスで指示を仰ぐ必要などないのです。
データ管理や機械化など工場のノウハウを農業に持ち込んだそうです。先代の会長の口癖は、「土に降りない農業をしろ」だそうです。2009年の人力と2023年の機械化された収穫風景を写真で見せてくれました。前は、たくさんの作業員が総出で作業をしていましたが、今は1台の機械を1人で操作するだけでです。
「『きつい、重い』をいかに『楽にする』か」が鍵になります。ほうれん草の作業は、50人から5人に、サトイモは40人から3人に、枝豆は70人から4人で行えるようになりました。
農業のDX化で大事なことは、記録を取ることです。これまでの農家では、経験と勘で取り組んできたのが常識でしたが、これをやってもらうことが第1でした。最初は、紙を使っていました。それをDX化するのが、次の段階です。最初は、システム業者に頼んで作ってもらっていましたが、農作業の説明が難しいのと、変更や更新のスピードが遅いので、自社開発しました。
DX化の利点として、①商品の付加価値、②工場への安定供給があります。天災におけるリスク管理も、今までは100%の作付けで天災があると60%に減少し最終の収穫は50%になってしまいます。しかしDX化することで、120%作付けし、天災が起きても、フィールドマンのチェックで80%の被害に留めてさらに作付けを増やして110%に戻し、最終の収穫を100%にします。このフィールドマンは1人だけですが、その役割が、とても重要だと思いました。
他の業種と農業がコラボする上での障壁についても解説してくれました。
・農業側は、記録の重要性(我々の業界にも通じる!)
・他の業界は、ゴールのすり合わせが大事。
困っている声の根本を探る(困っている課題はソレなのか?理想のゴールは同じか?)
例)農家は重いものを持ち上げる時に腰を痛めるというような話をしているので、業者が腰のプロテクターを提案
例)農家は除草剤の除草率は50%でいいのに、業者は90%の除草率を求めてしまう
イメージするスマート農業は、「農家が楽になる」方法
Q&A
FAISの林氏が「システムを従業員に理解してもらう工夫は?」と質問しました。石原氏の返答は、i-phoneの操作は紙により楽で、QRコードで読み込んで70代の人もサクサク使っていますよとのことでした。
会場からは、フィールドマンは何人か?という質問でしたが、1名しかおらず、最初は38歳の男性だったが、今は28歳の女性が担っているそうだ。アメリカの農業を視察して日本に帰ってきた人です。278ヘクタール全てを回るのではなく、収穫前の場所と病気の出そうな所のみだそうです。また18人の従業員は、グループチャットで情報共有してコミュニケーションを取っているそうです。
また、昔のデータから、どのような条件で病気になるのか、害虫の発生、農薬の種類と量、土壌分析などのデータで行えるそうだ。
次に小倉南区にある(株)桃源舎の中村氏の発表でした。(https://www.osayuki-yasaimura.com/)中村氏は、30年JAに勤務して50代で親の会社を継がれたそうだ。親の農家を継ぐためと地域貢献のためにはじめられました。そのために千葉の農業も視察されています。はじめは、農作物の直売所からスタートして2年間全くもうけがあったそうです。大手スーパーに卸せるようになって、売り上げが1億を超えてようやく安定したそうです。
その後、農作物の生産を始めマザーランドを設立したが、若者の人材育成に苦労したそうです。月に1回は休む、1年経つと2,3日休むようになり、辞めてもらったそうです。何人か視察に来られてものになるのは、ある程度、生活に余裕のある運転資金に1千万円くらいある60代の人だったそうです。小規模で農業をやるなら、地元の人と仲良くなり、話を聞くようでないといけないそうです。
その後、FAISの指導を受けて、生産の効率化ができていないという指摘のもと、改善を図りました。
その発表を受けて、石原氏のコメントは、データは意味のある行動に結びつくものを取ること、作業が楽になるようにすることが農業が続いていく秘訣とおっしゃっていたのが印象に残りました。
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