自傷行動がコミュニケーションの手段だったら
先日は、北九州市発達障害者支援センターが主催する行動障害事業の研修会があり、講師を務めさせていただきました。応用行動分析に基づく支援を理解していただくためにABC分析について手を変え品を変え説明し、実習などをやっていただくのですが、なかなか難しいですね。強化や消去の法則を説明した後、ABC分析の例を考えていただきました。
ある受講者は以下のような例をあげてくれました。ある子どもは、壁を叩くことで玩具が欲しいことを表現していたので、職員は玩具を与えていました。そこで、職員はまずハイタッチをして気を逸らす対応をしてみました。しかし、その場では治まるのですが、また職員が目を話していると壁叩きが始まります。玩具を要求していることに気がついたある職員は、絵カードを渡すことで要求行動を教えました。すると壁を叩く行動は治まったそうです。
職員は、はじめ気がつかなかったので壁を叩くことで玩具を渡していました。行動の直後に好子が生じるので、この行動は強化されます。しかし、途中で気がついた職員は、壁叩きには対応せず(消去)、代わりに絵カードを渡すことで玩具を渡すという要求のコミュニケーション行動を教え、それに対応して玩具を渡すようにしました。この場合は、絵カードを渡す直後に好子が生じるので、絵カードを渡す行動が強化されます。
これは壁を叩く行動は強化しないで(消去)、絵カードを渡す行動を強化するので分化強化といいます。機能的に等価な代替コミュニケーションの指導は、行動問題を減らす方法の1つです。
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