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善意の隷属化 (benevolent enslavement) (チャレンジング行動 第7章)

昨日は、北九州チャレンジング行動研究会第8回があり、チャレンジング行動の7章についての勉強会でした。

そこで、話題になったのが「善意の隷属化 (Lovaas, 1982」です。第5章の行動的モデル:チャレンジング行動の機能的意味というタイトルで58頁にこのような記述があります。


「ロヴァースとシモンズは、大人の注目を控えることが重度知的障害のある2人の少年が示す重度の自傷行動の消去につながったことを明らかにしています (Lovaas & Simons, 1969) 。さらに最終的に消失する前に、そのうちの1人の少年が示す自傷行動に随伴して慰めるような注目を与えると、自傷行動は再び生起するようになりました。自傷行動の急速な悪化につながった慰めるような注目というのは、彼の手を握り、「大丈夫」と言って安心させるというような自然な反応でした。後にロヴァースは、このような人道的な反応は、子どもを慰めようとする介護者の善意がかえって自傷が維持される主な原因になっているように見える点で、「善意の隷属化 (benevolent enslavement) 」の一例として紹介しています (Lovaas, 1982) 。


私たちが、当事者にとって良かれと思ってしたことが逆に、当事者のチャレンジング行動を強化してしまうことがあるという点で、注意すべき点だろうと思います。それに関連して、放課後等デイサービスと生活介護の複合型の事業所を行っている参加者のお1人が、経験を交えて感想を述べられました。


「作業課題を行っていた重度の知的障がいのある自閉症の方が、作業課題中に自傷や辺りを蹴るチャレンジング行動を示したときに、落ち着かせるために課題を中断して、ある職員が休憩場所に誘導していたそうです。最初、作業課題が嫌で逃避していたと考えられていたのですが、ある時、その職員とかかわることが強化になっていると気が付き、チャレンジング行動をした直後には、その職員がかかわらないにしたそうです。直後は、チャレンジング行動が一時的にひどくなったそうですが、かかわらないことを続けるとチャレンジング行動は減少しました。」


これは、特定の職員のかかわりがチャレンジング行動を強化していて、チャレンジング行動の直後はかかわらないという消去の手続きを行ったということでしょう。その直後、一時的にチャレンジング行動が酷くなったのは消去バーストと思われます。ここで注意が必要なのは、消去の手続きを単独で行わないことです。消去を単独で行わないどころか、1日中なんのかかわりを与えないと、ぽつぽつ他のチャレンジング行動が起こって収集がつかなくなるでしょう。裏を返せば、チャレンジング行動が起こっていない時は、通常通りにかかわりを行うことです。


他の参加者が、こういうことは一人で支援しているとなかなか気が付かないことだから、第三者が入ったり、機能的アセスメントを行って客観的に検証を行うことなんでしょうかね?とおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思います。





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