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アルバート坊やの消息

年始に何げなく行動分析学研究を読んでいたら、アルバート坊やの消息についている書いてる論文を見つけたので読んでみました。高砂美樹 (2019) 心理学史におけるLittle Albertをめぐる謎. 行動分析学研究, 33, 2, 128-134. の中で、ワトソンの恐怖条件付けの対象児だったアルバート坊やは、その後どうなったのかということを追った論文でした。


ワトソンは、行動論の創始者として教科書に紹介されていますが、スキナーの行動分析学の前の古典的な行動論者です。心理学者の中には、それを混同している人が多いので困ったものです。ワトソンの恐怖条件付けの研究は、最初ネズミやぬいぐるみに恐怖を示さなかったアルバート赤ちゃんでしたが、ネズミを触ろうとした時に大きなドラの音を聞かせるとびっくりして泣き出しました。その後、何回かそれを繰り返すとネズミを見ただけで泣き出すようになりました。この現象は、大きな音という無条件刺激とネズミという中性刺激を対提示することで、ネズミも恐怖反応を引き起こす条件刺激に変化するというレスポンデン条件付けの例として心理学の教科書に取り上げられています。


この実験自体が、倫理的に批判されている対象にもなっていますが、その後このアルバート坊やがどうなったのかについても、議論の的になっているようです。その後、恐怖症を持ったまま退院し行方不明になった、もともと障害を持っていてすぐに亡くなられたとか(

https://www.youtube.com/watch?v=KJnJ1Q8PAJk )。でも、有力な説では、家族に引き取られて高齢になるまで幸せに暮らしていたというものです。

 

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