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R5年4月17日(月)福岡市強度行動障がい集中支援事業か~む視察

北九州の中小規模事業所である、いろはの村田さん、ねぎぼうずの酒井さん、さんぽの高村さん、そして私の4名で、か~むの見学に行きました。北九州市でも、強度行動障害の支援の仕組みを整える動きがあり、令和2年から仲間が集まって活動をしています。市の方でも関心を示してくれており、3月18日(土)には、シンポジウムが開かれました。か~むの建物はどういう作りなのか、具体的にどのような支援が行われているのかついて、コロナが落ち着いたころを見計らって見学に訪れました。案内は、所長の森口さんとサビ管の三苫さんに行ってもらいました。※記事は、私のメモを基に書き起こしたもので、記述に正確性を欠く箇所もあるかもしれませんので予めご了承ください。


設立の経緯

・H18年強度行動障がいのある利用者を多数受け入れていたカリタスで職員による虐待事件をきっかけに利用者の保護者会が福岡市長に陳情を出し、市議会でも取り上げられたことで、強度行動障がい者支援研修事業が始まる。

・H21年に福岡市の補助で強度行動障がい者共同支援事業がスタート

・H27年に強度行動障がい者集中支援モデル事業がスタート。これが、障がい者行動支援か~むの始まり。名称については、「強度行動障害」という名称のイメージが悪いということで、いろいろと協議が行われたそうだ。「スイッチ」という候補があがっていたが、行動にスイッチを入れるのではないかということで却下され、英語の”calm” (穏やか)や”come”(おいでよ)の意味から「か~む」という名称になった。

・H27年に並行して、市内の施設のリーダーの育成を目的とした強度行動障害の研修事業を始める。施設のリーダーを育成することで、施設全体に波及することを狙っている。これは、福岡県で実施している国の強度行動障害研修とは違い、当事者を協力者として呼び、より実践的な研修になっている。

・H30年には、移行型のグループホームを開設。福岡市独自の緊急受入の3類型(重度心身障害、強度行動障害、虐待)の中で、強度行動障害についてか~むが担う。グループホームと短期入所の機能を持たせ、日勤と夜勤の2交代制で回している。




集中支援と移行型GHについて

・「行動障がいの軽減」という目的にしてしまうと言葉の問題で、「治る」とか「行動問題がゼロになる」と誤解される恐れがある。これは施策を進める行政側とのゴールのずれを生まないために心がけたいところ。

・移行型GHは、集中支援から出ても、地域になかなか受け皿がないことから検討された。支援期間の平均でいうと集中支援が6カ月で、移行型GHが1年半であるが、年々伸びているのが現状である。

・建物は、2階建てで1階が、緊急受入と集中支援の2つのユニットにパーテーションで分かれている。・2階が移行型GHになっていて、個室になっている。

・県で実施している強度行動障害研修では、職員が受講して施設に戻って実践しようとしても、周囲の管理職や他の職員を巻き込んでいくのが難しい。そこで、移行支援では、施設に出かけてコンサルテーションを行っている。

・か~むで独自に行っている研修事業も、コンサルテーションに加えて施設で広めてくれることを期待してサービス管理責任者を対象に施設内のマネジメントと人材育成を目指して変更したいと考えている。

・職員は、常勤職員が2名と1年契約の期間雇用職員が6名である。常勤職員は、法人の人事に則って昇給がある。常勤雇用の人は、別分野から転職した人も多い。専門支援は、常勤職員が行い、生活・家事援助が、期間雇用職員が担っている。

・引継ぎが課題になっていて、職員全員が一斉に集まってケース検討することができない。日勤の職員とは、朝礼や終礼で短時間検討することはできる。引継ぎ方法の工夫としては、映像を活用している。保護者に見せることもあるが、その時はある程度編集をしている。

・か~むから移行できたのケースは、今まで16名の中、入所が2名、GHが5名、単身生活が2名(重度訪問介護※3を利用)。再度受け入れが1名で、そこを出て敷地内にサテライトの建物に単身で生活している。

※3費用は年間で1人でGH利用5人分くらいでコストがかかるのと、支援者がなかなか集まらないという問題がある。


森口氏が考えている3つの課題

1.受け入れ枠が限られていること

2.職員の支援力の向上で、今のところOJT(オンザジョブトレーニング)。支援の考え方を身につけたり、リーダーとして育てるのに課題を感じている。

3.幼児期から学童期の予防支援として、保護者と子育てを一緒に考えるサービスが必要と考えている。幼児期は、母子通園や通園施設などあるが、学齢期の放課後等デイサービスは、子育てを考えるのが弱い。


Q&A

高村氏の質問

・バスにある学齢期施設の広告「うちの利用で〇人、受給者証がなくなりました」が載っていたが、どうなのかなと思う。か~むのようなものを入所施設に設置できないか?

森口氏

・1980年代の処遇改善事業でうまくいかなかった。入所施設では、夜間の体制や個別対応が難しいのはないか。また他のサービスが使えなくなる。また入所の日課で動くのが難しい人たちで、それに従えないと我儘と捉えられる。

・実際3か月で出る人はいないので、ここが生活の場になってしまう。GHなら外出支援や日中のサービスが利用できる。もともと、オール福岡という考えで地域生活を支えることを考えてきた。ノーマライゼイションの考えで本人のペースで支援ができる。


酒井氏の質問

・か~むの利用の入口はどうなっているのか?

森口氏

・支援の入口は、出口と同じように各区に設けられている基幹相談支援センター※1で申し込みを行う。現在、待機者は12名ほどで、支援者運営協議評議会※2で協議を行って決める。


※1北九州市の基幹相談支援センターは、ウェルとばたに1法人一カ所設けられていて市内全域をカバーしているが、福岡市は各区に分散して設けられている。

※2市内の民間施設の協議会から発展してできた組織

・緊急受入は、短期入所の事業形態だが、通常とは異なる条件で介護者の急病などやむを得ない事情によるもので受け入れている。基幹相談支援センターは、普段から利用している短期入所を中心に調整を行い、受け入れ先の確保が難しかった場合に、か~むの緊急一時事業の利用調整を行う。


村田氏の質問

・か~むを出た先の受入先はいつくあるのか?

森口氏:受け入れ先が決まっているわけではなく、その都度、区の基幹相談支援センターが調整を行っている。

村田氏:その都度?それは非効率だから強度行動障害の支援を受け入れてくれる施設を募って登録制にしてはどうか?

森口氏:強度行動障害の加算を取っている所はあるが新たに受け入れてくれない。カリタスでの事件の教訓の1つは、1つの事業所だけでやらないということだと思う。就労系の福祉支援は、株式会社なども参入して自由競争しているが、重度の障害者の支援で自由競争は厳しいだろう。人が集まりにくく、泊りがあるともっと難しい。

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