二語文を理解するイルカたち
- 今本繁
- 2018年9月12日
- 読了時間: 2分
9月の頭、子どもたちの夏休み最後の週末は、北九州の自閉症協会のバスハイクにご一緒させていただきました。一日目は、ハウステンボスでの周遊でしたが、豪雨とバッティングして大変でした。午後の遅い時間にようやく雨も小降りになりましたが・・・。夜はロボットが受付をしている変なホテルに泊まりました。
2日目は一転快晴の天気になり、九十九島の水族館に向かいました。駐車場は、外国人の観光バスが何十台も連なって渋滞でしたが、私たちのマイクロバスはすんなり入れました。館内に入るとちょうどイルカショーが始まるというので、みんなそこに向かいました。みんな大人しく観れるかなと思っていたら、ショーが終わるまで誰も離れることはありませんでした(こういうときに、子どもたちの成長を実感します)。
そこで面白い出し物がありました。トレーナーがイルカにボールや円盤などの5種類のアイテムを指定し、次にその場所に行って、タッチやジャンプなど5種類の動作を実施させるというものでした。面白いのは、アイテムをイルカに示す時は、イラストを使い、次に動作を示す時はサインを使っていたことです。
たとえば、トレーナーがボールのイラストをイルカの前で見せ、すぐにジャンプのサインを出します。するとイルカは、ボールの前まで来てジャンプをするのです。そのようなトレーナーの指示をイルカは3種類くらいの組み合わせでこなしました。これは、まだ試行したばかりで研究中のことでした。保護者の人たちの感想は、「イルカは2語文がわかるんだ」「ペッ〇スと一緒だ!」「うちの子の方がもっとできる!」などなど。
言語の働きは複雑で頭のいいイルカでも2語文の理解がようやくなんですね。アイテムの指示はイラストで、動作の指示がサインなのは、違うモードの方が混乱がないからなのかなと思いました。身近なようで言葉って不思議だなと改めて思います。

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