行動モーメンタム2
- 今本繁
- 2018年6月8日
- 読了時間: 2分
去年の7月8日の記事で「行動モーメンタム」という概念を紹介しました。行動モーメンタムというのは、行動分析家のNevinらが1980年代に提唱したもので行動の変化のしにくさ(変化抵抗)を表します。発達障がい児が他者からの指示に従わない行動(非応諾行動)も変化抵抗と言えるものです。逆に応諾行動が身に着けば、指示に抵抗を示すといった行動問題も減少することがわかっています。
先日、ある通園施設に通っているお母さんからこんなエピソードを聞きました。歯科医院に行く事に対して抵抗を示す3歳児のお子さんについてです。家から歯科医院に出かけるのに「歯医者行くよ」と言っても頑として受け付けないので、「歯医者行ったら、アイス買ってあげるから」と「楽しみは後回し」の方略を使ってみたそうですが、「行かない」の一点張りです。
そこでお母さんは、苦し紛れに「まずパン屋に行こうか、それから歯科医院ね」と提案しました。すると「パン屋行く」と言いました。私は、パン屋には行ったけど歯医者は拒否したかなと思いましたが、結果はなんと・・・後日、結果を聞いてみると「パン屋に行った後、ちゃんと歯医者に行けました」という報告を受けました。
行動モーメンタムの研究では、応諾行動の後に非応諾行動を随伴すると、後者に対しての抵抗が少なくなるという結果を示しています。この場合、「パン屋に行く」というのが応諾行動で「歯医者に行く」のは非応諾行動で、研究結果と同じことが起こりました。私は、長らく低頻度行動(歯医者に行く)を強化するために好子(パン屋)を後に随伴することが大事と思っていましたが、行動モーメンタムのように先行子操作も効果的なんだと最近になって感じています。自閉症の人には、全般的に先行子操作がうまくいくことが多いのですが、改めてそれを実感しました。

最新記事
すべて表示前回の記事で子どものご機嫌取りをすることの弊害について伝えましたが、また別の事例についてお話します。 3歳の子どもが自分の頭の中の物語に沿って、活動を進め大人を巻き込むことがあります。大人の方も子どもに合わせて付き合ってあげることを延々と続けます。子どもは大満足だし、大人も...
現在、自閉症の支援において特別支援学校やさまざまな福祉事業所で、視覚的支援や構造化が広く活用され始めていることは、とても好ましいことです。 一方で「自閉症には視覚的支援をすればいいんでしょ」と安易に考えて支援しているところもあり危うさを感じます。それが曲がりなりにも障がい者...