『応用行動分析(ABA)入門講座~明日から試せる効果的なアプローチ方法を学ぶ~』
今日は佐賀県発達障害者支援センター結主催、TEACCHプログラム研究会佐賀支部共催による講演会が佐賀県のみやき町コミュニティセンターでありました。発達障害者の支援にABAの知見を役立てる試みとニーズは日増しに高まっています。元々佐賀は支援学校や福祉施設など県域で自閉症支援が盛んで、構造化による支援や視覚的支援は最も普及している地域の1つだと思います。その中でさらにABAのことを学んで支援に生かそうと考えている人たちがたくさん参加されました。ABAの基本的な枠組みについて話して行動を具体的に理解するにはABC分析(機能分析)が最適だと思ったので、ちょっと難しい内容ではありましたが2時間半の講演でチャレンジしました。そして具体的に支援の計画に役立ててもらうためにABC分析を基にした4つの介入法1行動問題を予防する環境調整、2行動問題に置き換わる行動の支援、3行動問題以外のことに目を向ける他行動の強化、4行動問題自体を弱化・消去する支援を紹介しました。
最後に質問コーナーがありましたが、通常大きな会場ではみんな遠慮して質問が出にくいので主催者の西依さんがトップバッターで質問して他の人が質問しやすい空気を作ってくれました。放課後デイサービスの主催者が「子どもたちが自由に遊んでいる場面で興奮して乱暴を働く子がいるけれども、どのように強化や罰の方法を使ったらよいですか?」という質問がありました。やはり皆さん、介入法としての強化や罰に目が行ってしまうのでしょうか。私は再度「私が説明した方法は個々の介入法として捉えるのではなくABC分析をして行動の原因を明らかにした上で介入法を計画するのですよ。」ということを強調しなければなりませんでした。でもそれは他の大勢の受講者にとっても良いリマインダーになったかもしれません。
質問された方に話を伺うと「発達障害のお子さんを自由に遊ばせている」ことに問題があることがわかりました。残念ながらこれはどこの放課後デイサービスでも起こっていることだろうと思います。自閉症の理解とその支援の専門性が乏しいために学童保育と同じようなことをしているのかもしれません。まず私の答えとして1の環境調整が必要で、ある程度設定された遊びの中で意図的に社会性を学ぶ取り組みをしなければなりません。つまり環境調整の中には療育活動やプログラムの変更も含まれます。自由に遊んで自然に学ぶことを期待することはとても難しいのです。
他にも保育所であと数か月で卒園だというのにベーコンを食べるのが苦しいから保育所に来れなくなったお子さんの事例を話してくれました。その子は昨日が卒園日だったそうですが式には参加せず、なんとか入学までの間に少しでも参加してほしいという保育士さんの思いからお別れ会には来れたそうです。なんとか来れるということも大事かもしれませんが、私は入学後のことが心配でたまりませんでした。ケース会議を開いて引継ぎをしっかり行うことを強調しました。支援会議も今度予定されていると伺いました。自閉症支援の進んでいる佐賀の学校に期待することにしましょう。
その他に適応行動が身に着いたあとにトークンはどうやって止めるんですか?という質問もありました。十分に行動が身に着いたら、ターゲットとした行動へのトークンは徐々に減らしていくようにして、別の目標行動でトークンを使ったらよいと思いますと答えました。トークンシステム自体は別に悪いことでも何でもないので残していいと思います。